『ガンダム Gのレコンギスタ』の日本の未来における重要性(1)

久々にブログを書こうと思ったのも、富野由悠季が作ったガンダム最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』を観たことがきっかけである。


一回では書ききれないので、何回かに分けて順番に書いておこうと思う。

目次 『ガンダム Gのレコンギスタ』の日本の未来における重要性

(1)失われた【G】の技術の意味と現代に実在する"トワサンガ"

    1. 前置き
    2. 失われた【G】の技術について
    3. 富野由悠季に伝えたいこと
    4. 続く

(2)日本がアニメやコンテンツ産業において国土回復しなければならない本当の理由
(3)海外における日本のコンテンツ産業においても国土回復しなければならない理由

前置き

この作品について、簡単に説明しておくと

  • 演出や作画が古めかしい
  • ヒロインや主人公が魅力的
  • 声優の抜擢は歴史に残るレベル

こう書くと、たいして面白く無いのかなと思って見るのをやめてしまう人がいるかもしれないが、私としては今期もっとおすすめしたいアニメである。その理由を順番に説明していく。

この作品を未視聴の方には意味の分からない表現が度々出てくると思うので、以下の説明サイトを参考にして頂ければと思う。

失われた【G】の技術について

タイトルにあるレコンギスタとは、スペイン語の「レコンキスタ」を由来としている。元々は「再征服」という意味を持つ言葉であるが、本作ではこれを「国土回復」「国土復権」という意訳で引用しており、"高度成長化してしまったガンダム作品の国土回復"というメッセージと、"宇宙世紀の終焉で崩壊した地球圏を国土復権する"という作中の世界観が表されたタイトルとなっている。

Gレコのコンセプトを聞いた時にチラリと頭をよぎるものがあった。彼が復権を目論んでいる「高度成長化する前のガンダム」に通ずる【G】の技術についてだ。

劇中では禁制化されている旧世紀の技術というものが出てくる。現実世界でこれに当たるのは、過去30年の年月の中で失われてしまった真のアニメ技術ではないかと私は思っている。

この技術に関して、偶然にも我々の間で『失われたオーバーテクノロジーと以前から呼んでいる技術があった。海外のトップアニメーターと話したときも同じような単語が出てきてこの話になった。

これがどんな技術なのかというと、私も最初紙とペンで説明されてようやく理解しできたので、言葉で説明するのは難しいため、以下の本に書かれている技術として紹介しておく。

アニメーション作画法―デッサン・空間パースの基本と実技

アニメーション作画法―デッサン・空間パースの基本と実技

この本について説明しておくと、遥か30年前に書かれているが未だアニメ史上市販されている教材の中で最高峰の本だと思う。


逆に考えれば、30年の間にテレビの解像度が進化する一方で、作画についての技術は失われ続けてきたということになる。この失われてきた技術こそが【G】の技術の一部ではないだろうか。


ここに書かれている技術について、語弊を恐れずに言えば現代のアニメではとうてい修正されないような作画についてより高いレベルで修正箇所を見抜き、さらに高いレベルで修正する技術のことである。

例えばパースや人体骨格上正しい作画でも、アニメやイラストの構図としては修正すべき場合が多く有る。これを見抜くには師匠から弟子に継承されるような「目」と「腕」の両方の力が要求される。アニメ世紀後半において、作業者が集まって共同で作業を行うスタジオというものが減ってきたように感じる。そして師匠・弟子という形式が薄れていった中で長きに渡って失われていったのではないかと思われる。


香港のRainbow Galaというイベントに参加した時に、技術が失われる前のバンダイ社でアニメーターをしていた方と知り合い、この本の存在や失われた技術の詳細、失われた経緯などを教えて頂いたのが私がこの技術の存在を知ったきっかけである。

後から分かったことだが、この本の作者である湖川氏は『伝説巨神イデオン』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』などでキャラデザ担当として富野氏とも共演している。同じ時代の専有として富野氏が旧来の【G】の技術として湖川氏を始めとする未だ史上最高峰の作画技術を思い描いていたとしても不思議ではないと思う。

富野由悠季に伝えたいこと

私は彼に会ったことがないので彼は知る由もないが、彼がGのレコンキスタによって復権を目論んでいる技術を保有し、その技術を密かに日本へと供給している、トワサンガ』のような国がこの地球上には存在している。

トワサンガは禁制化されている旧来の技術を保有し、フォトンバッテリーを地球へと供給している。
フォトンバッテリー自体は金星の衛星にくっついたリングワールド、ビーナス・グロゥブで製造されている。
1年に一度、トワサンガから宇宙船でフォトンバッテリーを運んでくる。その宇宙船のデザインはかなりおもしろい。

現代における『トワサンガ』とはどこなのか.......


私は現在海外でイラスト制作を行う会社を経営しているが、この会社を作った2012年頃から、密かに後述する技術を台湾イラストレーター達に伝え、実際に現地に行って技術を伝えたり、Google Hangoutなどの動画会議を使って国を跨いだ授業を行ったり、台湾にイラストレーターのための作画技術に関する書物の私設図書館のような場所を用意したり、日本の仕事を依頼していく中でその極意を伝えてきたりした。

そこで注意したことは前述した【G】の技術の水準をきちんと彼らに伝えることだ。意欲が高く先入観がない分、日本のイラストレーターより飲み込みが早く、今では現代の日本からは一般的に失われてしまったその技術を再現できるようになっている。

また、最近ではフランス・スペイン・オーストラリアなど他の国々でもこの技術を再現するために現地のクリエイターの育成に力を注いでいる。


そして、日本のゲーム制作会社(スクウェア・エニックス社、gumi社、コロプラ社など)のために定期的にそこで作られたイラストを供給している、そう定期便の宇宙船でフォトンバッテリーを供給するかのように


こういった活動をしているのは私が知らないだけで他にもあると思うのだがこういった活動によって、現代でも旧世代の技術が絶えることのないよう少しは助けになっていることを願っている。

続く

次回は「2.日本がアニメやコンテンツ産業において国土回復しなければならない本当の理由」について書いていく。

どうして高度成長化した現代アニメが日本を滅ぼすのかということについて詳しく書いていく予定