『Ubuntuのシェアが減ってる』というマイナビの記事を鵜呑みにしてはいけない
Linuxをひとくくりにしないで
こういうリテラシーの低い記事をメディアに書かれると、将来を考えてOS選びをしたり、その選択理由をクライアントに説明しなきゃいけないサーバエンジニアとしては大変迷惑なので、記者の方は記事を書く前に数字の意味を理解してから書いていただきたいと思うわけです。
報告されているグラフによると、
2005年からトップの座にあるUbuntuは徐々に値を低下。
2010年から2011年の間にLinux Mintに抜かれている。
Ubuntuシェア減止まらず、Mint急浮上 - Royal Pingdom報告
http://news.mynavi.jp/news/2011/11/25/047/index.html
デスクトップとかノートPCの方が数多いのは当たり前
...The counters are no longer displayed on the individual distributions pages, but all visits are logged. Only one hit per IP address per day is counted.
http://distrowatch.com/dwres.php?resource=popularity
各ディストリビューションページへのユーザーのアクセスをカウントしているというわけです。
サーバとして運用するつもりのユーザーよりデスクトップとして運用するつもりのユーザーの方が圧倒的にアクセスされているのは当たり前なので、つまりこの数字からは、(主に)デスクトップ用のOSとしてUbuntuよりMintのアクセスが増えているということくらいしか分かりません。
しかもGoogleトレンドを見てみると、Googleでの検索回数ですらUbuntuの方がMintより圧倒的に多いみたいだし、distrowatchの統計は甚だ疑問が残ります。
http://www.google.co.jp/trends?q=mint%2C+ubuntu&ctab=0&geo=all&date=ytd&sort=0
Linux技術者にとって大事なサーバOSのシェア
では、ここで視点を変えてこちらのグラフを見てみましょう
こっちのグラフには以下のように書いてあります。
..websites that recently changed between Ubuntu and other Linux technologies.
http://w3techs.com/technologies/changes/os-ubuntu
こっちの数字はLinuxによって運用されているWebサイトの数の統計です。緑色のバーが他のOSからUbuntuに乗り換えている割合を表しています。つまり、サーバOSとしてはUbuntuが今この瞬間も延び続けているということが分かります。
先ほどの記事ではUbuntu減ってるなんて書かれてたのにおかしいですよね。
はっきり言ってLinux技術者にとってはこっちの『サーバOSとしてのディストリビューションのシェア』の方が数百倍も大事なんです!
数字は正しく伝えよう
データの提供元があいまいに提示したデータに乗せられて、ほいほい記事を書いちゃうのはきわめて良くないです。そういえばニールセンの統計関係でも最近似たようなことがありましたよね。こういう記事がたくさんの誤解を生んで、私の周りでも本来いらないたくさんの手間が発生してるので、ほいほい記者の方は反省してください。